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風営法・許認可

深夜のショーやDJ、スポーツ観戦で要る特定遊興飲食店営業の許可。深夜酒類の届出との違い

周年パーティーで深夜にショーを入れる。DJを呼んで朝まで盛り上げる。大きな試合の夜に、スタッフが客と一緒に応援する。深夜酒類の届出だけで営業している店がこうしたイベントを繰り返すと、特定遊興飲食店営業の許可が必要になる場合があります。どこからが許可の対象になるのかを、条文と警察庁の基準で確認します。

編集部(水商売経営学)公開 2026年9月24日15分で読めます
宵のラウンジの奥の小さなステージに、スタンドマイクとDJ機材が置かれ、スポットライトが当たっている

この記事の要点

  • 特定遊興飲食店営業は、設備を設けて客に遊興をさせ、酒類を出して飲食をさせる営業のうち、午前0時から午前6時の間にも営むもの(風俗営業にあたるものを除く)。営業所ごとに公安委員会の許可が要る
  • 警察庁の基準では、店の側が積極的に客を遊ばせるかどうかで判断する。客に歌を勧めて合いの手を入れる、観戦の応援に参加させるなどは該当し、頼まれてマイクを渡すだけ、試合の映像を流すだけなら該当しない
  • 許可が出るのは条例で定める地域の営業所だけで、東京都では午前5時から午前6時まで営業できない。無許可で営むと2年以下の拘禁刑か200万円以下の罰金(併科あり)になる

深夜のイベントは、店の売上を大きく動かします。周年パーティーのショー、DJを入れた夜、スポーツの大一番を客と一緒に見る夜。深夜酒類の届出で営業しているバーやガールズバーでも、こうした企画を考える場面は多いはずです。

ただ、午前0時を過ぎてから客を積極的に遊ばせ、酒を出す営業には、届出とは別の許可があります。風営法の特定遊興飲食店営業です。この記事では、どこからが許可の対象になるのか、深夜酒類の届出や風俗営業の許可とどう違うのかを確認します。

午前0時以降・酒の提供・客の遊興の3つがそろうと許可が必要になる

定義は風営法第2条第11項にあります。

この法律において「特定遊興飲食店営業」とは、ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る。)で、午前六時後翌日の午前零時前の時間においてのみ営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く。)をいう。

風営法 第2条第11項

午前0時から午前6時の間にも営業し、酒を出し、客に遊興をさせる。この3つがそろうと、特定遊興飲食店営業になります。営もうとする人は、営業所ごとに所在地を管轄する公安委員会の許可を受けなければなりません(法第31条の22)。

警察庁の解釈運用基準は、深夜は営業しないもの、深夜は酒類を提供しないもの、深夜は客に遊興をさせないものは該当しないと説明しています。午前0時までにショーを終え、そのあとは普段どおり飲食だけを出すなら、この許可の対象にはなりません。午前0時以降も酒を出すなら、深夜酒類提供飲食店営業の届出は別に必要です。届出の手順は深夜酒類提供飲食店営業の届出の手順にまとめています。

「客に遊興をさせる」かどうかは、店の側が積極的に働きかけているかで分かれる

条文は「遊興」の中身を書いていません。警察庁の解釈運用基準が判断の軸を示しています。

「遊興をさせる」とは、文字どおり遊び興じさせることであるが、特定遊興飲食店営業として規制対象となるのは、営業者側の積極的な行為によって客に遊び興じさせる場合である。

警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について」(令和8年7月1日)第10の2(1)

判断の分かれ目は、店の側が客を積極的に遊ばせているかどうかです。 基準は遊興のサービスを2つに分けています。ショーや演奏を見聞きさせる鑑賞型と、遊戯やゲームをさせる参加型です。鑑賞型では、実演者が客の反応に応じられる状態で演奏や演技をすることが積極的な行為にあたり、テレビの映像や録音した音楽を流すだけなら、あたりません。

基準が挙げている例を並べると、次のとおりです。

「客に遊興をさせる」にあたる例あたらない例
不特定の客にショー、ダンス、演芸などを見せるカラオケボックスで客にカラオケ装置を使わせる
歌手がその場で歌う歌や、バンドの生演奏を聴かせる客が自分から歌いたいと言ったときに、マイクや歌詞カードを渡し、装置を動かす
ダンスの場所を設け、音楽や照明で演出して客を踊らせるガールズバーやメイドカフェなどで、ショーやゲーム大会をせず飲食物だけを出す
のど自慢大会などの遊戯、ゲーム、競技に不特定の客を参加させるボウリングやビリヤードの設備を、客に自由に使わせる
カラオケを勧め、客の歌に照明の演出や合いの手を入れ、褒めはやすスポーツなどの映像を客に見せるだけ(客が自分で応援する場合を含む)
スポーツなどの映像を見せ、客に呼びかけて応援に参加させる

カラオケやスポーツ観戦、ダーツ大会で「遊興」にあたる場合とあたらない場合

表を店の場面に置き換えてみます。

カラオケは、置いてあるだけでは遊興にあたりません。客に頼まれて曲を入れ、マイクを渡すのも同じです。スタッフやキャストが歌うよう勧め、照明で演出し、合いの手を入れて盛り上げると、基準の例にあたります。店の中で著作権の手続きが要る場面は、カラオケやBGMの著作権で確認できます。

スポーツバーの観戦も、映像を流すだけなら該当しません。客が自分たちで盛り上がっていても同じです。店の側が客に呼びかけて、応援に参加させると該当する例になります。

ダーツ大会のように客を競技に参加させる企画は、参加型のサービスです。ただし基準は、法第2条第1項第5号の遊技設備を使った競技大会に客を参加させることを恒常的に行うバーについて、全体として風俗営業(5号営業)の許可が要るとしています。店の機械がこの遊技設備にあたるかは、機種を伝えて警察署に確認してください。

ガールズバーやコンカフェは、飲食物を出すだけなら遊興にはあたりません。イベントの夜にショーやゲーム大会を深夜まで行う場合に、この許可が問題になります。店の手続き全体はガールズバー開業の許可一覧とコンカフェ開業の許可一覧にあります。

年に1回の周年イベントや単発の貸切でも、許可は要るのか

許可が要るのは「営業」として行う場合です。基準は、営業を、財産上の利益を得る目的で同じ種類の行為を反復継続して行うことと説明しています。続けるつもりのない一度きりの催しと、繰り返す企画とでは扱いが変わります。

短期間の催しについては、2晩以上にわたって行われるものは、継続性が認められる。これに対し、繰り返し開催される催し(1回につき1晩のみ開催されるものに限る。)については、法第8条第3号の規定の趣旨に鑑み、引き続き6月以上開催されない場合は、継続性が認められず、営業には当たらない。

警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について」(令和8年7月1日)第10の3(4)

2晩続けて開く周年イベントには、継続性が認められます。1晩だけの催しでも、間が6月未満で繰り返すなら継続性の問題になります。基準はさらに、ふだんは遊興をさせていないスポーツバーが、関心の高い試合のときに、続ける意思なくたまたま短時間だけ深夜に遊興をさせた場合は、継続性が認められないとしています。

深夜に及ぶパーティーのために店を有料で貸し、深夜に酒を出して余興に合わせた照明や音響の調整を繰り返す場合も、基準は店の側に許可が要るとしています。貸切だから主催者の問題、とは限りません。イベントの頻度と中身を決めた段階で、警察署に相談しておくと安全です。

接待をする店は、この許可を取っても深夜に接待はできない

定義の最後にあるとおり、風俗営業にあたる営業は特定遊興飲食店営業から除かれています。キャバクラやラウンジのように接待をする店は、ショーを入れても風俗営業のままです。風俗営業は、条例で認められた地域と時間を除いて、深夜に営業できません(法第13条第1項)。延長の仕組みは風営法の営業時間にまとめています。

同じ営業所で風俗営業の許可と特定遊興飲食店営業の許可を重ねて受けることについて、基準は可能としています。深夜以外に風俗営業を営み、営業の継続性を完全に断ったうえで深夜に特定遊興飲食店営業を営む形です。継続性を断つ措置として、基準は接待飲食等営業について次を求めています。

  • すべての客を帰らせる
  • 接客従業者も帰らせる(客として店に残らせることもしない)
  • 別会計にして営業する

深夜の時間帯に接待をすれば、許可のない時間に風俗営業をしていることになります。切り替えの運用は店ごとの判断が大きいので、実際の段取りを持って警察署か行政書士に確認してください。

深夜酒類提供飲食店営業の届出と、特定遊興飲食店営業の許可の違い

深夜に酒を出すバーの多くは、深夜酒類提供飲食店営業の届出で営業しています。特定遊興飲食店営業との主な違いを、条文から並べます。

項目深夜酒類提供飲食店営業特定遊興飲食店営業
手続き公安委員会への届出(法第33条第1項)公安委員会の許可(法第31条の22)
客を遊ばせること特定遊興飲食店営業にあたる営業は含まれない(法第2条第13項第4号)深夜に遊興をさせる営業そのもの
営業できる場所条例で深夜営業を禁止する地域がある(法第33条第4項。東京都は住居集合地域)条例で定める地域の中だけ(法第31条の23で準用する法第4条第2項第2号)
構造の基準国家公安委員会規則の技術上の基準に適合するよう維持(法第32条第1項)客室1室33平方メートル以上、見通しを妨げる設備を置かない、照度10ルクス以下にならないなど(施行規則第75条)
手続きをしないで営んだとき50万円以下の罰金(法第55条第6号)2年以下の拘禁刑か200万円以下の罰金、または併科(法第50条第1項第4号)

届出は「届け出れば営業できる」仕組みで、許可は「審査を通れば営業できる」仕組みです。場所と構造の基準を満たさない店は、許可を受けられません。今の物件で深夜の遊興ができるかは、物件ごとに決まります。営業の区分は、補助金の対象になるかにも関わります。IT導入補助金の扱いは風営法の許可を取っている店が使えない補助金にまとめています。

営業できる場所は、都道府県の条例が定める地域に限られる

許可が出るのは、良好な風俗環境の保全に障害を及ぼすことがないため特に設置が許容される地域として、都道府県の条例が定める地域の中にある営業所だけです(法第31条の23で読み替えて準用する法第4条第2項第2号)。ホテルの中にある一定の基準を満たす営業所は例外です。

条例の基準は政令が決めています。施行令第22条は、店舗が密集し風俗営業などの営業所が1平方キロメートルあたりおおむね300か所以上ある地域か、深夜に1平方キロメートルあたりおおむね100人以下しか人が住んでいない地域であることなどを挙げ、住居が集まる地域やその隣接地域を除くとしています。

東京都の条例(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例)第12条は、許容地域を、商業地域のうち規則で定める地域などとしています。規則は、その地域を公安委員会が告示する地域としたうえで、住居集合地域とそこから20メートル以下の区域を除いています(風俗営業等密集地域では、幹線道路の両側50メートル以下の区域の扱いが別に定められています)。病院や夜間に子どもが利用できる保育所などの周りの扱いは次のとおりです。

周りにある施設原則商業地域のうち規則で定める地域
乳児院・児童養護施設などの児童福祉施設、午前0時から午前6時に児童が利用できる保育所・幼保連携型認定こども園敷地の周囲100メートル以内は除く敷地から50メートル以上なら除かれない
病院、8人以上入院できる診療所敷地の周囲100メートル以内は除く敷地から20メートル以上なら除かれない
その他の診療所、第二種助産施設敷地の周囲100メートル以内は除く敷地から10メートル以上なら除かれない

公安委員会が規制に著しい支障があると認める区域は、この緩和から外れます。告示で指定された具体的な地域については、物件を決める前に住所を持って管轄の警察署に確認してください。

許可を取ったあとに守る決まり

営業時間は、都道府県が条例で制限できます(法第31条の23で準用する法第13条第2項)。東京都の条例第13条は、都内全域で午前5時から午前6時までの営業を禁止しています。朝まで営業する店でも、午前5時には営業を終える必要があります。

年少者の扱いは、法第22条第1項を読み替えて準用しています。午後10時から午前6時までは18歳未満を客として入れられず、例外は午前0時前に保護者が同伴する場合だけです。午後10時から午前6時まで、18歳未満を客に接する業務に就かせることもできません。20歳未満への酒類やたばこの提供も禁止です。入口での確認の手順は未成年の客を入れないためにで整理しています。

ほかにも、次の決まりがあります。

  • 営業所ごとに管理者を1人選ぶ(法第31条の23で準用する法第24条)
  • 深夜の営業では、照度の規制と、条例で定める数値以上の騒音・振動を出さない規制がかかる(法第14条・第15条の準用)。苦情への備えは騒音の苦情への対応を参照
  • 客に接する業務に就かせる人の生年月日や国籍を書類で確認して記録し、従業者名簿を備える(法第36条・第36条の2)。名簿の書き方は体入も従業者名簿が必要
  • 東京都では、料金を店内に表示し、表示した料金以外を請求しない、営業中に出入口や客室に施錠しないことなどを守る(条例第14条)

無許可で営業したときの罰則と行政処分

許可を受けないで特定遊興飲食店営業を営むと、2年以下の拘禁刑か200万円以下の罰金、またはその両方です(法第50条第1項第4号)。従業者が店の業務として違反したときは、店を営む法人や個人事業主にも罰金が科されます(法第57条)。

この罪で罰金以上の刑を受けると、刑の執行を終えた日などから5年間は、風俗営業や特定遊興飲食店営業の許可を受けられません(法第4条第1項第2号、第31条の23で準用)。

許可を受けたあとも、法令や条例に違反すれば、公安委員会の指示(法第31条の24)や、許可の取消し、6月以内の営業停止(法第31条の25第1項)の対象になります。

今日できる確認

  • 午前0時以降に、ショー、生演奏、DJ、カラオケの盛り上げ、観戦の応援、ゲーム大会など、店の側から客を遊ばせる企画をしていないか
  • 深夜のイベントが2晩以上続くものか、6月未満の間隔で繰り返すものか
  • 接待をする店で、午前0時以降も同じ客やキャストが残る形で営業を続けていないか
  • 店の住所が、条例で特定遊興飲食店営業を許容する地域に入っているか(東京都なら公安委員会の告示)
  • 深夜の企画を始める前に、内容を具体的に書いて管轄の警察署に相談したか

出典

※2026年9月24日に上記資料を確認しました。自店の深夜の企画が特定遊興飲食店営業にあたるか、物件が許容地域に入るかは、管轄の警察署か行政書士へ確認してください。

編集部(水商売経営学)

水商売経営学の編集部です。実際に店を回してきた人間と、業界の外から入った編集者で書いています。法律・税務の記事は公的資料を出典として明示します。制度の説明は出典を示して公開し、許可・届出の要否や条文の解釈など「うちの店の場合はどうか」に踏み込む記事は、行政書士・税理士の確認が取れるまで公開しません。取材した店の話は、聞いた範囲のことだけを書きます。個別の判断は店の状況によって変わるため、迷う表現は確認したうえで進めてください。

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