
体験入店でも実際に店の業務へ従事させるなら、正式採用が決まってからではなく、勤務前に従業者名簿と本人確認を準備する運用が安全です。警察庁の基準は、名簿の対象を雇用契約のある労働者だけに限定していません。
深夜営業を含む対象店は全従業者の名簿が必要
風営法第36条は、風俗営業者、特定遊興飲食店営業者、一定の酒類提供飲食店営業者、深夜に飲食店営業を営む者などに、営業所ごとの従業者名簿を求めています。
警察庁の解釈運用基準では、深夜帯の営業についても、名簿に記載するのは深夜に勤務する人だけではなく、すべての従業者とされています。
名簿には氏名・住所・生年月日など7項目を記載
法令から整理すると、基本項目は次のとおりです。
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 氏名 | 公的書類と同じ氏名 |
| 住所 | 現在の住所 |
| 性別 | 法令上の記載項目 |
| 生年月日 | 年月日 |
| 採用年月日 | 業務に従事し始める日 |
| 退職年月日 | 業務を終えた日 |
| 業務内容 | 接客、調理、会計、清掃など具体的に |
労働基準法の労働者名簿に必要項目がそろっていれば、別に従業者名簿を作らず代替できる場合があります。既存の人事台帳を使う場合は、項目が不足していないか確認してください。
委託・派遣スタッフも名簿の対象になり得る
警察庁の基準は、雇用契約がある労働者に対象を限定していません。業務の一部を委託している場合も、その店で営業に関係する業務へ従事する人は記載が必要です。
例として、外部から派遣されたコンパニオン、ダンサー、歌手なども、店の営業として接待・ダンス・歌唱を行うなら対象になると示されています。
体入でも実際に働くなら勤務前に名簿を作る
「一日だけ」「採用前」「報酬を手渡し」といった呼び方だけでは、対象外とはいえません。体験入店で次の業務を実際に行うなら、勤務前に名簿へ記載する運用にします。
| 体入で行う業務 | 名簿を作る判断 |
|---|---|
| 客と会話し、注文を受ける | 実際の業務に入る前に作る |
| 酒類や飲食物を提供する | 実際の業務に入る前に作る |
| 会計、案内、清掃を担当する | 店の業務に従事する人として確認する |
| キャストとして接客に入る | 接客従業者の確認記録も準備する |
見学だけで業務を行わない場合との区別も、店内ルールに書いておきます。個別の扱いは、営業形態と体験内容を所轄警察署へ説明して確認してください。
客に接する人は国籍・在留資格も確認する
接待飲食営業、特定遊興飲食店営業、一定の酒類提供飲食店営業などでは、客に接する業務へ従事させる人について、生年月日と国籍を確認します。外国籍の人は、在留資格、在留期間、資格外活動許可など、該当する事項の確認も必要です。
使用できる確認書類は法令で定められています。日本国籍の人では、本籍地都道府県名と生年月日を確認できる住民票記載事項証明書、旅券などが例示されています。外国籍の人は在留カードや旅券など、在留区分に応じて確認します。
本人確認書類には重要な個人情報が含まれます。閲覧できる担当者を限定し、画像を個人スマートフォンへ残さない、送付方法と保管場所を決めるなど、情報管理も同時に設計します。
応募から退職まで6段階で名簿を管理する
| 手順 | 完了すること |
|---|---|
| 1. 応募時 | 必要書類を案内する |
| 2. 勤務前 | 原本など法令に沿った方法で本人確認する |
| 3. 名簿作成 | 必要な7項目を記載する |
| 4. 確認記録 | 接客従業者の確認記録を作る |
| 5. 業務開始 | 業務内容と開始日を確定する |
| 6. 退職・終了時 | 退職年月日を追記する |
「忙しいので後日」は避け、名簿と確認が終わらなければ業務に入れないルールにします。
根拠は風営法36条と警察庁の運用基準
- e-Gov「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」第36条・第36条の2
- e-Gov「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令」第25条・第26条
- 警察庁「風営法の解釈運用基準」第35
- 警視庁「外国人の適正雇用について」
この記事の要点
- 名簿には氏名、住所、性別、生年月日、採用・退職年月日、業務内容を記載する
- 雇用契約がある労働者だけでなく、委託・派遣で店の業務に従事する人も対象になり得る
- 体験入店で実際に業務へ従事させる場合は、勤務前に名簿と本人確認を準備する


