
面接は来る。初日も来る。それなのに、2回目の連絡がつかない。
複数店舗を運営するグループでコンカフェの店長をしていた人に、辞めた理由を挙げてもらうと、筆頭は店の中にありました。入った後で漏れている店は、初日から漏れています。この記事では、体入の初日に何を決めておき、何を渡し、何を済ませておくかを手順にします。
初日に付く人を、ひとり決める
初日の受け入れで最初に決めるのは、その日に誰が付くかです。店長でなくて構いません。ただし、閉店まで同じ人が見ます。
付く人が決まっていない店で起きるのは、新人が誰に聞けばいいか分からないまま営業が始まることです。内勤は営業中に手が空きません。先輩キャストは自分の卓があります。結果として新人は、誰にも聞けないまま、たまたま近くにいた人の指示で動きます。その人の指示は次の日には変わります。
付く人を決めると、もうひとつ決まります。新人が初日に困ったことを、誰が聞いておくかです。閉店後に付いた人が「今日どうだった」と聞く。それだけで、2回目の連絡がつかなくなる前に、続かない理由が出てきます。
内勤に付かせる店では、内勤がその日にやる仕事を減らしておきます。応募対応やシフトの集計と同じ日に新人の受け入れを重ねると、どちらも中途半端になります。内勤の仕事の範囲を決める話はキャストが辞めた理由に「内勤」が挙がる店で起きていることに書きました。
本人確認と名簿は、初日の勤務前に済ませる
体入は「まだ正式に入っていない」という感覚で、本人確認と名簿を後回しにする店があります。法令はそうなっていません。
接待飲食等営業を営む風俗営業者、店舗型性風俗特殊営業を営む者、無店舗型性風俗特殊営業を営む者、特定遊興飲食店営業者及び第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業を営む者は、当該営業に関し客に接する業務に従事させようとする者について次に掲げる事項を、当該事項を証する書類として内閣府令で定める書類により、確認しなければならない。 一 生年月日 二 国籍
風営法 第36条の2第1項
「従事させようとする者」なので、確認は業務につく前です。体入でも、その日に客に接する業務をするなら対象になります。年齢の確認は、18歳未満に接待をさせない、午後10時以降に客に接する業務につけない、20歳未満に酒類を出さない、という風営法第22条の線を守る入口でもあります。
従業者名簿も同じです。項目と体入時の扱いは体入も従業者名簿が必要にまとめました。初日に来た人に「身分証を持ってきてください」と伝えるのは、面接のときです。当日に言うと、持っていない人はその日に働けません。
募集に書いた条件と、初日に渡す条件を揃える
体入の人が初日に見ているのは、店の雰囲気だけではありません。募集に書いてあったことと、初日に言われることが同じかどうかです。ここがずれると、その後の説明はすべて疑われます。
雇用する形の店では、募集の段階と契約の段階の両方に、労働条件を示す決まりがあります。
労働者の募集を行う者及び募集受託者(中略)は、それぞれ、職業紹介、労働者の募集又は労働者供給に当たり、求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者に対し、その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
職業安定法 第5条の3第1項(抜粋)
労働基準法第15条は、労働契約を結ぶときに賃金、労働時間その他の労働条件を明示することを使用者に求めています。2024年4月からは、募集時にも契約時にも、業務の内容や就業場所の変更の範囲などの明示事項が追加されています。
初日に渡すものは、募集に書いた内容を紙にしたもので足ります。時給や日払いの扱い、指名やドリンクの扱い、シフトの出し方と締切、遅刻・欠勤の連絡先。この4つが書いてあれば、初日の説明は紙を見ながらできます。
この記事の法令にあたる部分のうち、労働条件の明示は雇用契約で働いてもらう人(労働者)に当てはまる話です。キャストを業務委託で扱っている店では、契約の形そのものが論点になります。自分の店がどちらにあたるかは、この記事では判断できません。社会保険労務士か税理士へ確認してください。本人確認と名簿は、契約の形に関係なく風営法上の義務です。
初日の流れを、紙に書いておく
初日にやることは多くありません。決めておくことが多いだけです。
- 到着したら、付く人が名乗り、本人確認と名簿の記入を先に済ませる
- 条件を書いた紙を渡して、上から一緒に読む。質問はその場で受ける
- 店内を一周して、荷物の置き場、着替え、休憩、トイレ、非常口を見せる
- 最初の1〜2時間は、付く人の卓に同席させる。ひとりで卓に出さない
- 中盤で一度、付く人が「ここまでで分からないこと」を聞く
- 閉店前に、翌日以降の話をする
この流れを紙に書いて、付く人に渡します。付く人が変わっても同じ初日になります。
シフトの出し方は、初日に一度説明しておくと、2回目以降の催促が減ります。提出先と締切の決め方はシフトを集める・催促する・配る手順にあります。
初日の終わりに、次の日程まで決める
「また連絡します」は、両方から消える言葉です。店は忙しくて連絡を忘れ、本人は連絡が来ないので他の店に行きます。
初日の終わりに、付く人が3つを聞きます。続けたいか。次はいつ来られるか。今日、困ったことは何か。続けたいなら、その場で次の出勤日を決めて、シフトの提出先に書きます。店の側で断るなら、その場で伝えます。
断った場合も、来なかった場合も、記録を残します。日付、来たか来なかったか、続けるか断ったか、本人が言った理由。これは辞めた人の理由と同じ形で残しておくと、半年後に「体入は来るのに残らない」の中身が分かります。記録の形は当日欠勤と遅刻を口頭で済ませると何が起きるかの5項目と揃えておくと、ひとつの表で見られます。
初日の前に消えている人のことも、数えておく
面接から初日までの間に消える人は、初日の受け入れを整えても減りません。応募が入ってから最初の返信までにかかった時間、面接に来た人のうち初日に来た人の割合。この2つは店の側で数えないと見えません。
応募への返信と面接の日程調整は、内勤の手が空いた時間に少しずつやることになりがちで、返信が遅れた分だけ人が消えます。ここを自動でやるツールもあります。初日の受け入れを整えたうえで、応募の対応で困っていることがあれば、そのままLINEで送ってください。
今日できる確認
- 次の体入の日に、誰が付くかが決まっているか
- 面接のときに、初日に持ってくる本人確認の書類を伝えているか
- 募集に書いた条件を、紙にして渡せる状態になっているか
- 初日の流れを書いた紙があるか。付く人が変わっても同じ初日になるか
- 初日の終わりに、次の出勤日をその場で決める運用になっているか
- 来なかった体入も含めて、記録を残しているか
初日の受け入れは、募集費をかける前に整えられる数少ない場所です。次の体入が来る前に、付く人と渡す紙の2つだけ決めてください。
出典
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索。第22条が年少者に関する禁止行為、第36条が従業者名簿、第36条の2が本人確認)
- 職業安定法(e-Gov法令検索。第5条の3が募集時の労働条件の明示)
- 労働基準法(e-Gov法令検索。第15条が労働条件の明示)
- 2024年4月から労働条件明示のルールが変わります(厚生労働省)
※2026年9月22日に上記資料を確認しました。自分の店の契約の形にどう当てはまるかは、社会保険労務士・税理士へ、本人確認の書類の種類は管轄の警察署へ確認してください。
この記事の要点
- 体入初日に付く人をひとり決めて、閉店まで同じ人が見る。決まっていない店では、新人は誰に聞けばいいか分からないまま帰る
- 本人確認と従業者名簿は、初日の勤務前に済ませる。風営法は客に接する業務に従事させる人の生年月日と国籍の確認を求めている
- 募集に書いた条件と、初日に説明する条件を揃える。職業安定法と労働基準法は募集時と契約時の労働条件の明示を求めている


