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スカウトや紹介業者を使う店が確認すべき職業安定法の許可と紹介手数料

人が足りない月は、スカウトに「1人入ったらいくら」と頼むか、求人サイトに募集を出すかを考えることになります。職業安定法はこの2つを別の仕組みとして扱い、紹介でお金を受け取る業者には厚生労働大臣の許可を求めています。2025年の風営法改正では、性風俗店がスカウトに紹介料を払うことが禁止されました。キャバクラやホストクラブ、ラウンジの店が紹介業者や求人サイトを使うときの決まりを、条文と厚生労働省・警察庁の資料で確認します。

編集部(水商売経営学)公開 2026年10月10日15分で読めます
開店前の店の机で、スーツの袖の手元がスマートフォンを持ち、手帳に予定を書き込んでいる。机の上に名刺入れとコーヒーカップ

この記事の要点

  • 職業安定法の「職業紹介」は、求人と求職の申込みを受けて雇用関係の成立をあっせんすること(第4条第1項)。有料で行うには厚生労働大臣の許可が要り(第30条第1項)、厚生労働省は、いわゆるスカウト行為を事業として行えば職業紹介にあたるとしている
  • 業者が許可を受けているかは、厚生労働省の人材サービス総合サイトで許可・届出受理番号や事業主名称から検索できる。紹介手数料は、省令の上限額以内(上限制)か、厚生労働大臣に届け出た手数料表(届出制)に基づくものに限られ、求職者からは原則として取れない(第32条の3)
  • 2025年6月28日に施行された風営法第28条第13項(いわゆるスカウトバックの禁止)の対象は、個室付浴場業、店舗型ファッションヘルス、派遣型ファッションヘルス。キャバクラやホストクラブは対象に入っていないが、職業安定法の許可や委託募集の決まりはかかる

キャストが足りないときに店が使う手段は、求人サイトや求人誌に募集を出す、スカウトや紹介業者に人を紹介してもらう、雇っていない知り合いに声をかけてもらう、の3つにまとめられます。職業安定法は、この3つにそれぞれ別の決まりを置いています。

職業安定法の決まりは、業者の側にも店の側にもかかります。紹介料を受け取る業者には厚生労働大臣の許可が要り、店が外の人に報酬を払って人集めを頼む形なら、店の側に許可が要ります。この記事は、雇用契約で働く人(労働者)を集める場面を前提にしています。業務委託の契約で迎えるキャストにこの説明がそのまま当てはまるかは、契約の実態によって変わります。

求人サイトでの募集と職業紹介事業は、職業安定法での扱いが異なる

職業安定法は、紹介業者がする「職業紹介」を次のように定義しています。

この法律において「職業紹介」とは、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあつせんすることをいう。

職業安定法 第4条第1項

求人サイトや求人誌の運営は、これとは別の「募集情報等提供」にあたります(同法第4条第6項)。厚生労働省のパンフレットは、求人サイト・求人情報誌などが該当すると説明しています。情報を提供するだけで、求人と求職の申込みを受けず、雇用関係の成立のあっせんもしない場合は、職業紹介にはあたらず、許可等の手続は要りません。求職者の情報を集めて募集情報等提供を行う事業者は、厚生労働大臣への届出が必要です(同法第43条の2第1項)。

店が自分で求人サイトに募集を載せることは、「文書募集」として扱われます。厚生労働省の募集・求人業務取扱要領は、インターネットを利用した募集も文書募集に含め、原則として自由に行うことができるとしています。店で雇っている人が店のために声をかける「直接募集」も、原則として自由です。

人集めの形何をするか必要な手続き根拠
店が求人サイトや求人誌に募集を載せる店が自分で募集を出す(文書募集)店の側は原則として不要募集・求人業務取扱要領
求人サイトを運営する募集の情報を求職者に提供する(募集情報等提供)求職者の情報を集めるなら届出法第4条第6項、第43条の2
スカウトや紹介業者が人を紹介する雇用関係の成立をあっせんする(職業紹介)有料なら厚生労働大臣の許可法第4条第1項、第30条第1項
雇っていない人に人集めを頼む被用者以外の人に募集をさせる(委託募集)報酬を払うなら許可と報酬額の認可、払わないなら届出法第36条

厚生労働省は、求人サイトの形をとる事業者でも、事業者の判断で選んだ相手にだけ情報を渡したり、求職者と店のやり取りに事業者の判断で手を加えたりすれば、職業紹介の許可等が必要になると整理しています。使っているサービスがどちらにあたるか分からないときは、都道府県労働局に問い合わせるよう案内されています。

スカウト行為を事業として行う業者には、厚生労働大臣の許可が必要になる

スカウトは、店に紹介する人を探し、本人に声をかけて店で働くよう勧めます。厚生労働省は、この形を職業紹介として扱うと明記しています。

求人者に紹介するため求職者を探索した上で当該求職者に就職するよう勧奨し、これに応じて求職の申込みをした者をあっせんするいわゆるスカウト行為を事業として行う場合は、求職者が当該勧奨に応じたことをもって求職の申込みがされたとみなし、職業紹介に該当する。(後略)

厚生労働省「募集情報等提供と職業紹介の区分について」【例1-4】

有料の職業紹介事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければなりません(法第30条第1項)。許可を受けずに行った者は、1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金です(法第64条第1号)。許可の有効期間は、最初の許可で3年です(法第32条の6第1項)。

許可を受けた業者は、許可証を事業所ごとに備え付け、関係者から請求があれば見せなければなりません(法第32条の4第2項)。取引を始める前に業者へ許可証を見せてもらうよう頼むと、許可を受けているかを確かめられます。

職業安定法は、公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で職業紹介や労働者の募集などをした者を、1年以上10年以下の拘禁刑か20万円以上300万円以下の罰金としています(法第63条第2号)。この罪で拘禁刑や罰金の刑に処せられた人は、刑の執行を終えるなどした日から5年を経過するまで、風俗営業の許可を受けられません(風営法第4条第1項第2号リ)。

雇っていない人に報酬を払ってキャスト集めを頼むには、店の側の許可が必要になる

店が、雇っていない人に報酬を払って人集めをさせる形は「委託募集」です。この場合は、厚生労働大臣か都道府県労働局長の許可を受け、報酬の額についても事前に認可を受けなければなりません(法第36条第1項・第2項)。報酬を払わずに頼む場合は、届出が必要です(同条第3項)。

店の側にかかる罰則もあります。許可を受けずに報酬を払って募集をさせれば、1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金です(法第64条第7号)。募集をする店は、募集に携わる従業員への賃金などと、認可を受けた報酬を除いて、募集に携わる人に報酬を与えてはならず(法第40条)、違反すると6月以下の拘禁刑か30万円以下の罰金です(法第65条第6号)。

許可を受けた職業紹介事業者に人集めを頼む場合について、厚生労働省の要領は、その事業者に求人を申し込んだものと解するのが適当で、委託募集の許可は基本的には不要としています。紹介料を払って人を集めるなら、許可を受けた紹介業者に求人を申し込む形にするのが、職業安定法の手続きに沿ったやり方です。業務委託のキャストや知人など、店が雇っていない人に紹介のお礼を払っている場合は、委託募集にあたらないかを都道府県労働局に確認してください。

路上で声をかけて店で働くよう誘うスカウトには、都道府県の条例もかかります。東京都の迷惑防止条例は、公共の場所で不特定の人に、専ら異性に対する接待をして酒類を伴う飲食をさせる役務に従事するよう勧誘することを禁止し(第7条第1項第5号ロ)、対価を払って他人にそれをさせることも禁止しています(同条第2項)。罰則や区の条例を含めた整理は客引きはどこから違法になるかにまとめています。東京都以外の店は、店のある都道府県の条例を確認してください。

紹介業者が許可を受けているかは、厚生労働省の検索サイトで確認できる

厚生労働省は「人材サービス総合サイト」を運営していて、職業紹介事業の許可・届出事業所の一覧を載せています。職業紹介事業の検索画面では、都道府県、許可・届出受理番号、事業主名称、事業所名称、有料か無料かの区分で探せます。許可・届出受理番号は「01-ユ-000001」のような形で入力します。

紹介料を払う約束をする前に、相手から許可・届出受理番号と事業主名称を聞き、このサイトで検索してください。 番号と名称の両方で探し、契約の相手と同じ事業者が出てくるかを確かめます。見つからないときは、許可証の提示を求めるか、都道府県労働局に問い合わせます。

厚生労働省の求人者向けのパンフレットによると、このサイトでは業者ごとに次の情報も確認できます。

  • 紹介によって就職した人の数
  • そのうち6か月以内に離職した人の数
  • 手数料に関する事項
  • 返戻金制度(短い期間で辞めた場合に手数料を返す制度)の有無と内容

求職者の情報を集めて求人サイトを運営する事業者が届出をしているかも、同じサイトの「特定募集情報等提供事業」から検索できます。

紹介手数料は、法令の上限額か事前に届け出た手数料表にもとづいて決まる

有料職業紹介事業者が受け取れる手数料は、2つの形に限られます。厚生労働省令で定める種類と額の手数料(上限制)と、事前に厚生労働大臣に届け出た手数料表に基づく手数料(届出制)です(法第32条の3第1項)。これ以外に、どんな名目でも実費や報酬を受け取ることはできません。

種類店が払う額の上限根拠
上限制手数料受付手数料は1件710円(免税事業者は660円)。紹介手数料は支払われた賃金の11%(免税事業者は10.3%)。6か月を超えて雇われた場合は6か月分の賃金が基準。期間の定めのない雇用では、6か月分の賃金から臨時の賃金と3か月を超える期間ごとに払う賃金(賞与など)を除いた額の14.8%(免税事業者は13.9%)と比べて大きい方施行規則第20条第1項・別表
届出制手数料業者が厚生労働大臣に届け出た手数料表の額法第32条の3第1項第2号

上限制の場合、紹介で入った人に支払われた賃金が仮に50万円なら、紹介手数料の上限は5万5,000円です。届出制の場合は、業者が届け出た手数料表を見なければ額が分かりません。

業者は、手数料に関する事項や返戻金制度などを、求人の申込みを受けた後すぐに書面(店が希望すれば電子メールなど)で示さなければなりません(法第32条の13、施行規則第24条の5第2項)。手数料表と返戻金制度を記した書面は、事業所内への掲示やインターネットなどで情報提供することになっています(施行規則第24条の5第4項)。キャストになる人(求職者)からは、原則として手数料を取れません(法第32条の3第2項)。決まりの外で手数料を受け取った業者は、6月以下の拘禁刑か30万円以下の罰金です(法第65条第2号)。

2025年施行の改正風営法で紹介料の支払いが禁止された対象は、性風俗店に限られる

2025年5月28日に公布された風営法の改正法は、一部の規定を除いて同年6月28日に施行されました。このとき、紹介の対価の提供を禁止する第28条第13項が加わりました。

第二条第六項第一号又は第二号の営業を営む者は、営業所で異性の客に接触する役務を提供する業務に従事しようとする者の紹介を受けた場合において、当該紹介をした者又は第三者に対し、当該紹介の対価として金銭その他の財産上の利益を提供し、又は第三者をして提供させてはならない。

風営法 第28条第13項

対象は、個室付浴場業(第2条第6項第1号)と店舗型ファッションヘルス(同第2号)です。派遣型ファッションヘルス(第2条第7項第1号)にも準用されます(第31条の3第1項)。違反すると6月以下の拘禁刑か100万円以下の罰金、またはその両方で、法人も罰金の対象です(第53条第7号、第57条)。

警察庁の解釈運用基準は、紹介料、顧問料など名目を問わず、特定の人の紹介の対価として払われたことが明らかになれば、スカウトバックと認定されるとしています。紹介を受けたときの1回目の支払いだけでなく、2回目以降の支払いも含まれます。

キャバクラやホストクラブ、ラウンジのように接待をして飲食させる店(第2条第1項第1号の営業)は、第28条第13項の対象に入っていません。こうした店が紹介業者に払うお金には、ここまでの見出しで見た職業安定法の許可と手数料の決まりがかかります。

警察庁の改正概要は、ホストが女性客の性風俗店への紹介をスカウトに頼み、スカウトがその女性客を性風俗店に紹介し、性風俗店がスカウトに紹介料を払う流れを図にして、紹介料の支払いに×印を付けています。スカウトが紹介する部分には「職業安定法で規制」と添えられています。接待をする店の側には、同じ改正で第22条の2が置かれ、威迫や誘惑によって、料金の支払いのために性風俗店で働くことなどを客に求めることが禁止されました(罰則あり)。内容はホストクラブ開業の許可一覧に、同じ改正で加わった色恋営業の禁止は色恋営業は何が禁止されたのかにまとめています。

紹介業者を通した採用でも、キャストの年齢確認の義務は店にある

キャバクラやホストクラブ、ラウンジなど接待飲食等営業を営む風俗営業者は、客に接する業務に就かせようとする人の生年月日と国籍などを、内閣府令で定める書類で確認しなければなりません(風営法第36条の2第1項)。確認したら記録を作り、保存します(同条第2項)。紹介業者が確認済みだと言っても、この確認の義務は店にあります。

18歳未満に接待をさせるなどの違反では、年齢を知らなかったことを理由に処罰を免れることはできません。過失がないときだけが例外です(風営法第51条第2項)。採用でしてはいけないことと確認の手順は18歳未満と年齢確認にまとめています。

紹介業者から履歴書などの個人情報を受け取るときは、本人の同意があるかを確かめるよう、厚生労働省は求人者に呼びかけています。面接で何を聞くかは面接で聞いてはいけないことで確認できます。

今日できる確認

  • 紹介料を払っている業者やスカウトの許可・届出受理番号を聞き、人材サービス総合サイトで検索したか
  • 紹介業者から手数料表と返戻金制度の説明を書面で受け取り、上限制か届出制かを把握しているか
  • 業務委託のキャストや知人など、店が雇っていない人に人集めのお礼を払っていないか。払っているなら、委託募集にあたらないかを都道府県労働局に確認したか
  • 紹介で来た人の生年月日と国籍を、店が書類で確認し、記録を残しているか
  • 路上で声をかけるスカウトに、店として報酬を払ったり人集めを頼んだりしていないか

出典

※2026年10月10日に上記資料を確認しました。取引している業者のやり方が職業紹介にあたるか、店が払っているお礼が委託募集にあたるかは都道府県労働局へ、風営法の規定が自分の店にどうかかるかは管轄の警察署へ確認してください。

編集部(水商売経営学)

水商売経営学の編集部です。実際に店を回してきた人間と、業界の外から入った編集者で書いています。法律・税務の記事は公的資料を出典として明示します。制度の説明は出典を示して公開し、許可・届出の要否や条文の解釈など「うちの店の場合はどうか」に踏み込む記事は、行政書士・税理士の確認が取れるまで公開しません。取材した店の話は、聞いた範囲のことだけを書きます。個別の判断は店の状況によって変わるため、迷う表現は確認したうえで進めてください。

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