
料金表を直すとき、「税抜」を「税込」に変えれば終わりだと思いがちです。
実際には、もう一段確認するところがあります。
セット料金とは別にサービス料やテーブルチャージがある場合、何に対していくらかかるのか。延長や指名、ボトル、深夜料金があるなら、どのタイミングで加算されるのか。客が注文する前に分からなければ、税込価格が書いてあっても会計の見通しは立ちません。
ここでは、消費税の総額表示と、風営法上の料金表示を分けて整理します。
先に分けたいのは「税込」と「別料金」
国税庁は、課税事業者が消費者へあらかじめ価格を表示する場合、消費税を含む価格を表示する必要があると案内しています。
たとえば税抜10,000円の商品やサービスなら、11,000円、11,000円(税込)、11,000円(税抜価格10,000円)といった表示が認められています。
一方、「10,000円+税」や「10,000円(税別)」だけでは、税込価格が表示されていません。
ここで混同しやすいのがサービス料です。
財務省は、税込価格を計算の基礎にするなら「上記税込価格にサービス料として10%」と表示する例を示しています。つまり、消費税とサービス料は同じものではありません。
料金表には、次の二つを分けて書きます。
- 商品やサービス自体の税込価格
- 別にかかるサービス料やチャージと、その計算方法
税込表示はSNSや看板にも必要
総額表示の対象は、店内に置いた料金表だけではありません。
国税庁の通達では、店内表示、チラシ、パンフレット、ポスター、看板、インターネット、電子メールなどが対象例として挙げられています。公式サイトやSNSに価格を載せる場合も、税込表示を確認する必要があります。
古い画像を使い回していると、店内の料金表だけ直して、SNSの告知画像に「税別」が残ることがあります。媒体ごとに見るのではなく、同じ料金が載っている場所をまとめて探したほうが漏れません。
なお、総額表示は「あらかじめ価格を表示する場合」のルールです。価格を表示していない場合に、消費税法が新たな表示を求めるものではありません。
ただし、風俗営業には別の料金表示ルールがあります。
接待飲食営業はサービス料も表示する
風営法第17条は、風俗営業者に料金の表示を求めています。
施行規則では、料金表を客に見やすいように掲げる、客席へ備える、注文前に見やすく示す、という方法が定められています。
接待飲食営業で表示する料金には、遊興料金や飲食料金だけでなく、施設を利用する対価や負担として客が支払うサービス料金なども含まれます。名前を「チャージ」「手数料」「管理費」へ変えても、客が負担する料金なら確認対象から外れるとは限りません。
そのため、「セット料金は書いてあるが、サービス料は会計時に伝える」という運用は避けたいところです。
自店が風俗営業に当たるか迷う場合は、風営許可と深夜届出の違いで営業区分を確認し、個別の料金項目は管轄の警察署へ相談してください。
料金は注文前に計算できるようにする
2025年の風営法改正では、接待飲食営業について、料金に関する事実と異なる説明や、客を誤認させるような説明が禁止事項に加わりました。客が注文していない飲食物などを提供する行為も、してはならない行為として示されています。
ここで大切なのは、料金表を置いたかどうかだけではありません。
料金表に小さく書いてあっても、説明と実際の会計が違えば問題になります。「サービス料20%」と書くなら、税込価格にかかるのか、税抜価格にかかるのか、何が計算対象なのかをそろえます。
延長が自動なのか確認制なのか。指名料は一回ごとなのか時間ごとなのか。最低注文額があるのか。客が会計前に初めて知る条件を残さないことが大切です。
広告やSNSの表示も含めて見直す場合は、「No.1」を消したあとの広告の作り方も合わせて確認できます。
スタッフ全員が同じ金額を出せるか
料金表の確認には、一つの会計例を使うと分かりやすくなります。
たとえば、次のような料金体系だとします。
- セット料金:5,500円(税込)
- テーブルチャージ:1,100円(税込)
- サービス料:上記税込価格の20%
この場合、サービス料の計算対象をセット料金とテーブルチャージの合計6,600円とするなら、サービス料は1,320円、支払額は7,920円です。
これは表示方法を確認するための計算例です。実際の料率や料金体系を勧めるものではありません。
料金表を見たスタッフ全員が同じ金額を出せるか。客へ同じ説明ができるか。POSレジの設定も同じ計算になっているか。ここまで照らし合わせます。
料金が載っている場所を一度並べる
料金を直すときは、店内の一枚だけで終わらせないほうが安全です。
- 店内の料金表とメニュー
- 入口の看板
- 公式サイト
- Google ビジネス プロフィール
- SNSのプロフィール、固定投稿、告知画像
- 広告媒体や案内ページ
- 予約時に送るメッセージ
- POSレジと会計伝票
古い表示を見つけたら、削除または更新し、いつ直したかを記録します。料金を変更した日は、表示、説明、レジ設定を同じ日に切り替えます。
最後に、初めて来る客のつもりで料金表を読みます。税込価格と別料金が分かり、注文前に支払額を計算できるなら、会計時の行き違いはかなり減らせます。
出典
- 国税庁「No.6902 『総額表示』の義務付け」
- 財務省「総額表示に関する主な質問」
- e-Gov「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(第17条、接待飲食営業に関する遵守事項)
- e-Gov「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則」(第33条、第34条)
- 警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律(概要)」
- 消費者庁「表示に関するQ&A」
※2026年8月12日に上記資料を確認しました。個別の料金体系や営業区分は、税務署、税理士、管轄の警察署などへ確認してください。
この記事の要点
- 消費者にあらかじめ価格を見せる場合は、店内メニューや看板、SNSを含めて税込価格が必要
- 接待飲食営業では、飲食代に加えてサービス料など客が負担する料金も表示対象になる
- 税込価格とサービス料の計算対象を明記し、注文前に支払額を計算できる状態にする


