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キャバクラやスナックでたばこは吸えるか。店内で喫煙できる4つの形と法律上の条件

「うちは昔から吸える店だから」「加熱式なら席で吸ってもいい」。どちらも、いまの健康増進法では通らないことがあります。2020年4月から、客に飲食をさせる店の屋内は原則禁煙です。この記事では、バーやスナック、キャバクラでたばこを吸える場所をつくるときの形と条件を、条文と厚生労働省・東京都の資料で確認します。

編集部(水商売経営学)公開 2026年9月24日14分で読めます
宵のバーのカウンターで、ウイスキーのグラスとガラスの灰皿の横に、火のついたたばこを持つ客の手元

この記事の要点

  • 飲食店を含む第二種施設の屋内は、2020年4月1日から原則禁煙(健康増進法第29条第1項第2号)。喫煙できるのは、基準を満たした喫煙専用室などの中だけ
  • 店で吸える形は4つ。喫煙専用室(飲食不可)、加熱式たばこ専用喫煙室(飲食可)、喫煙目的室(たばこの対面販売をし、主食を主に出さないバーなど)、喫煙可能室(2020年4月1日時点で営業していた、客席100平方メートル以下などの小さな店だけ)
  • 東京都では、労働者を雇っている店は喫煙可能室を使えない。どの喫煙室にも20歳未満は、客も従業員も立ち入らせてはいけない

常連さんが吸うから、灰皿は置いておきたい。けれど、いまの法律で店のどこなら吸ってもらえるのかは、はっきりしない。バーやスナック、キャバクラの経営者から出てくるのは、こういう迷いです。

2020年4月から、健康増進法の改正で、客に飲食をさせる店の屋内は原則禁煙になりました。この記事では、店の中でたばこを吸える場所をつくる4つの形と、それぞれの条件を整理します。東京都のように、国の法律より厳しい条例を置いている地域があることも確認します。

飲食店の屋内は原則禁煙。禁煙の場所に灰皿を置くことも禁止

健康増進法は、多数の者が利用する施設を3つに分けています。学校や病院などの第一種施設、喫煙目的施設、それ以外の第二種施設です(法第28条第5号から第7号)。バーやスナック、キャバクラは、喫煙を目的とする施設の要件を満たさなければ、第二種施設にあたります。

第二種施設では、喫煙専用室などを除く屋内の場所が喫煙禁止場所です(法第29条第1項第2号)。この改正法は、2020年4月1日から施行されています(平成30年法律第78号附則第1条)。

店の側にも義務があります。喫煙禁止場所に、灰皿のような喫煙のための器具や設備を、使える状態で置いてはいけません(法第30条第1項)。義務を負うのは「管理権原者等」で、施設の管理権原者に加えて、施設の管理者も含みます。東京都の資料は、管理者を、事実上現場の管理を行っている者と説明しています。オーナーだけでなく、店長にも関わる話です。

店内に喫煙場所をつくる4つの形と、求められる技術基準

屋内で吸える場所をつくるには、決まった種類の喫煙室を設けるしかありません。厚生労働省は4つの形を示しています。

喫煙室吸えるたばこ室内での飲食設けられる店
喫煙専用室たばこ全般できない第二種施設(店の一部に設ける)
加熱式たばこ専用喫煙室加熱式たばこのみできる第二種施設(店の一部に設ける・経過措置)
喫煙目的室たばこ全般できる(主食を除く)喫煙目的施設(全部または一部)
喫煙可能室たばこ全般できる既存特定飲食提供施設(全部または一部・経過措置)

喫煙室には、煙を外に出さないための技術的基準があります。基本は、出入口で室外から室内へ流れ込む空気が毎秒0.2メートル以上あること、壁や天井などで区画されていること、煙が屋外に排気されていることの3つです(喫煙専用室は施行規則第16条第1項。ほかの喫煙室にも同じ内容の基準がある)。

喫煙専用室は、吸うためだけの部屋です。厚生労働省は、室内で飲食を始めとするサービスを行うことはできないと説明しています。客が席を立って吸いに行く形になります。

加熱式たばこ専用喫煙室は、厚生労働大臣が指定した加熱式たばこだけを吸える室で、室内で飲食もできます(平成30年法律第78号附則第3条)。ただし、設けられるのは店の一部です。客席全体を加熱式たばこ専用にすることはできません。

シガーバーのような「喫煙目的施設」として認められる条件

喫煙目的室は、喫煙目的施設にだけ設けられます。バーやスナックがこれにあたる要件は、政令が定めています。

施設を利用する者に対して、たばこを販売する者によって、対面によりたばこを販売し、当該施設の屋内の場所において喫煙をする場所を提供することを主たる目的とし、併せて設備を設けて客に飲食をさせる営業(通常主食と認められる食事を主として提供するものを除く。)を行うものであること。

健康増進法施行令 第4条第2号

要件は3つに分けられます。たばこを対面で販売していること、喫煙の場所を提供することが主な目的であること、主食を主に出していないことです。主食について厚生労働省は、米飯類、菓子パン類を除くパン類、麺類などが主に該当するとしています。厚生労働省は例としてシガーバーを挙げています。

喫煙目的室を設けた店は、たばこ事業法の許可に関する情報を帳簿に書いて保存します(法第35条第6項、施行令第5条、施行規則第20条)。店の広告や宣伝では、喫煙目的室設置施設であることを明らかにしなければなりません(法第35条第8項)。

東京都は、飲食店向けに注意を出しています。たばこの出張販売の許可を取れば喫煙目的施設になれる、と勧める業者の例が複数報告されているというものです。都は、飲食や遊技などを目的とした施設は喫煙目的施設にあたらず、出張販売の許可は喫煙目的施設の許可ではないと書いています。接客と飲食が中心の店がこの形を選べるかは、店の実態を説明して保健所に確認してください。

2020年4月以前からある小さな店に認められる「喫煙可能室」の要件

経営規模の小さな既存の飲食店には、経過措置として喫煙可能室が認められています(平成30年法律第78号附則第2条)。喫煙可能室なら、室内で飲食を提供でき、店の全部を喫煙可能室にすることもできます。

この経過措置を使える既存特定飲食提供施設の条件は、次の3つです。

  • 改正法の施行の際(2020年4月1日)に現に存していた飲食店であること
  • 資本金または出資の総額が5,000万円以下の会社か、個人の経営であること(大規模会社が株式の2分の1以上を持つ会社などを除く)
  • 客席部分の床面積が100平方メートル以下であること

店の全部を喫煙可能室にする場合、技術的基準は壁や天井などで区画されていることだけになります(平成31年厚生労働省令第17号附則第2条第1項第2号)。喫煙可能室を設けたら、速やかに所在地の都道府県知事(保健所を設置する市や特別区では市長・区長)に届け出ます(同条第6項)。

客席の面積と資本金を示す書類は、店に備えて保存しなければなりません(附則第2条第3項、同省令附則第2条第4項)。広告や宣伝では、喫煙可能室設置施設であることを明らかにします(附則第2条第4項)。この経過措置が終わる日は、別の法律で定めるとされていて、まだ決まっていません。

東京都では、従業員を1人でも雇っていると喫煙可能室を使えない

国の法律のほかに、都道府県や市区町村が独自の条例を置いていることがあります。厚生労働省も、自治体によっては条例で独自の義務が定められている場合があるとしています。東京都の受動喫煙防止条例は、その代表です。

都の条例は、喫煙可能室を使える店を、既存特定飲食提供施設のうち従業員がいない店に限っています。

都指定特定飲食提供施設 改正法附則第二条第二項に規定する既存特定飲食提供施設のうち、当該既存特定飲食提供施設で業務に従事する従業員(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。)がいないものをいう。

東京都受動喫煙防止条例 第2条第6号

東京都では、労働者として雇っている人が一人でもいれば、既存の小さな店でも喫煙可能室は使えません。 その場合、店内で吸える場所は喫煙専用室か加熱式たばこ専用喫煙室だけです(同条例第8条第1項)。東京都のハンドブックは、従業員の例として正社員、契約社員、アルバイト、パートタイムを挙げています。

キャストを業務委託で入れている店は、条例上の「従業員」にあたるかどうかが、契約の形ではなく働き方の実態で変わりえます。労働基準法上の労働者にあたるかの判断なので、社会保険労務士に確認してください。

都の条例には、国の法律にない掲示の義務もあります。喫煙室のない飲食店は、主な出入口の見やすい場所に、店内に喫煙できる場所がないことを書いた標識を掲げます(同条例第9条第3項)。東京都以外で営業している店は、店のある都道府県や市区町村の条例を、それぞれのサイトか保健所で確認してください。

20歳未満は、客だけでなく従業員やキャストも喫煙室に入れない

どの喫煙室も、20歳未満の者を立ち入らせてはいけません(法第33条第5項、第35条第7項、附則第2条・第3条による読み替え)。条文は「二十歳未満の者」と書いていて、客か従業員か、雇用か業務委託かを区別していません。

20歳未満の方については、たとえ喫煙を目的としない場合であっても、喫煙エリアへは一切立入禁止となります。たとえ従業員であっても立ち入らせることはできません。万が一、20歳未満の方を喫煙室に立ち入らせた場合、施設の管理権原者等は指導・助言の対象となります。

厚生労働省「なくそう!望まない受動喫煙。」改正法のポイント

店の全部を喫煙可能室や喫煙目的室にした店では、店に入ること自体が喫煙室に入ることになります。東京都のハンドブックも、店内を全面喫煙可能にした場合は20歳未満を店内に立ち入らせてはならないとしています。店の全部を喫煙可能室にしている店は、20歳未満の人を、客としてもスタッフとしても店内に入れられないことになります。

20歳未満の客の入店や、お酒を出さないための年齢確認は未成年の客を入れないための年齢確認に、働く人の年齢の決まりは18歳未満と年齢確認にまとめています。

喫煙室を設けた店に必要な標識の掲示と、求人票への明示

喫煙室を設けたら、2か所に標識を掲げます。1つは喫煙室の出入口で、喫煙できる場所であることと、20歳未満の立入りが禁止されていることを書きます(喫煙専用室なら法第33条第2項。ほかの喫煙室も同じ形)。もう1つは店の主な出入口で、喫煙室があることを書きます(同条第3項)。厚生労働省のサイト「なくそう!望まない受動喫煙。」から、各喫煙室の標識をダウンロードできます。

決められた場合以外に喫煙室の標識やそれに似た標識を掲げること、標識を外したり汚したりすることは禁止されています(法第37条)。

人を雇うための求人にも関係します。労働者を募集するときは、就業の場所での受動喫煙を防止するための措置を明示しなければなりません(職業安定法施行規則第4条の2第3項第9号)。求人票や求人広告に、店内禁煙か、喫煙室があるかを書いておきます。スナックやガールズバーの開業時に必要な手続き全体は、スナック開業の許可一覧とガールズバー開業の許可一覧で確認できます。

労働安全衛生法も、事業者に対して、室内での労働者の受動喫煙を防ぐ措置をとるよう努めることを求めています(同法第68条の2)。喫煙室の清掃や、喫煙室での接客を誰に任せるかは、この点からも決めておきます。

命令や標識の決まりに違反すると、最大50万円の過料がかかる

健康増進法の違反には、都道府県知事などによる指導・助言、勧告、公表、命令があり、命令に従わないときなどに過料が科されます。厚生労働省によれば、過料の金額は、都道府県知事などの通知に基づき、地方裁判所の手続きで決まります。

違反の内容過料根拠
灰皿などの撤去の命令、喫煙室の基準に合わせる命令に違反50万円以下法第76条第1号
喫煙専用室・喫煙目的室の標識を掲げない、紛らわしい標識を掲げる・標識を汚す50万円以下法第76条第2号
喫煙禁止場所で吸った人が、中止などの命令に違反30万円以下法第77条第1号
喫煙目的室の帳簿を備えない、立入検査を拒む20万円以下法第78条
喫煙可能室の書類を備えない・保存しない20万円以下附則第2条第8項

20歳未満を喫煙室に立ち入らせた場合、厚生労働省の説明では過料ではなく指導・助言の対象です。過料がないからといって軽く扱ってよいわけではありません。

東京都の条例にも、命令違反などへの過料があります(同条例第15条から第17条)。なお、健康増進法の過料の条番号は、2029年12月11日から第79条から第81条に繰り下がります(令和7年法律第87号による改正)。金額は変わりません。

今日できる確認

  • 店が2020年4月1日時点で営業していたか、客席の面積と資本金で、喫煙可能室の条件を満たすかを確かめる
  • 東京都の店なら、労働者として雇っている人がいるかを確認し、いれば喫煙可能室を使っていないかを見直す
  • 喫煙室の出入口と店の主な出入口に、決められた標識を掲げているか。東京都で喫煙室がない飲食店は、禁煙の標識を掲げているか
  • 20歳未満のスタッフが、喫煙室や全面喫煙可能の店内に入る仕事についていないか
  • 求人票や求人広告に、受動喫煙を防ぐための措置を書いているか

出典

※2026年9月24日に上記資料を確認しました。自分の店がどの喫煙室を設けられるか、喫煙目的施設にあたるか、キャストが条例上の従業員にあたるかは、店のある地域の保健所か社会保険労務士へ確認してください。

編集部(水商売経営学)

水商売経営学の編集部です。実際に店を回してきた人間と、業界の外から入った編集者で書いています。法律・税務の記事は公的資料を出典として明示します。制度の説明は出典を示して公開し、許可・届出の要否や条文の解釈など「うちの店の場合はどうか」に踏み込む記事は、行政書士・税理士の確認が取れるまで公開しません。取材した店の話は、聞いた範囲のことだけを書きます。個別の判断は店の状況によって変わるため、迷う表現は確認したうえで進めてください。

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