
管理者をしていた店長が辞めた。後任は決まっていたので、そのまま営業を続けた。半年後の立入で、管理者の変更届が出ていないことを指摘された。
許可を取ったあとの手続きは、営業の中身より地味で、忘れられやすい。しかも期限があります。この記事では、風営法と施行規則を出典に、許可を取った店に続く手続きを、期限つきで整理します。立入で何を見られるかは警察の立入で何を見られるのかにまとめました。
許可証は、営業所の見やすい場所に掲示する
最初の義務は掲示です。
風俗営業者は、許可証(第十条の二第一項の認定を受けた風俗営業者にあつては、同条第三項の認定証)を営業所の見やすい場所に掲示しなければならない。
風営法 第6条
事務所の引き出しに入っている許可証は、掲示されていません。客席から見える場所、または入口付近に掲げます。
許可証をなくしたり、破損して読めなくなったりしたときは、速やかに公安委員会に届け出て再交付を受けます(法第5条第4項)。再交付を受けたあとで元の許可証が見つかったら、見つかった方を返納します(法第10条第1項第3号)。
店名・管理者・役員を変えたら、10日以内に届出
許可申請書に書いた事項のうち、次のものが変わったときは届出が要ります(法第9条第3項第1号)。
- 営業者の氏名または名称、住所。法人なら代表者の氏名
- 営業所の名称
- 管理者の氏名と住所
- 法人の役員の氏名と住所
期限は施行規則で決まっています。
前項の届出書の提出は、法第九条第三項第一号に係る届出書にあつては同号に規定する変更があつた日から十日(当該変更が法人の名称、住所、代表者の氏名又は役員の氏名若しくは住所に係るものである場合にあつては、二十日)以内に
風営法施行規則 第20条第2項(抜粋)
原則は10日以内、法人の名称・住所・代表者・役員に関するものは20日以内です。店名や営業者の氏名など、許可証に記載されている事項を変えたときは、届出とあわせて許可証の書換えを受けます(法第9条第4項)。
管理者を変えたときは、変更前の管理者の名前が書かれた風俗営業管理者証も一緒に提出します(施行規則第20条第3項)。冒頭の例のように、後任が決まっていても届出が出ていなければ、管理者の変更は済んでいません。
内装を変えるときは、工事の前に承認を受ける
営業所の構造や設備を変えるときは、順番が逆になると戻せません。
風俗営業者は、増築、改築その他の行為による営業所の構造又は設備の変更(内閣府令で定める軽微な変更を除く。第五項において同じ。)をしようとするときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、あらかじめ公安委員会の承認を受けなければならない。
風営法 第9条第1項
条文に「しようとするときは」「あらかじめ」とあるとおり、工事の前です。承認を受けずに工事をして、結果として構造・設備の基準に合わなくなると、法第12条の維持義務にも反します。
軽微な変更にあたるものは、事後の届出で足ります。期限は変更から1か月以内、照明設備・音響設備・防音設備に関するものは10日以内です(施行規則第20条第2項)。警視庁の案内では、届出書に営業の方法を記載した書類、営業所の使用権原を疎明する書類、平面図と周囲の略図を添付するとされています。
どこまでが軽微で、どこからが承認の対象かは、工事の内容によります。図面を持って、工事の前に管轄の警察署に確認してください。
6か月開けない、6か月休むと、取消しの対象になる
許可を取ったまま営業を始めない店、長く休業している店は、許可の取消しの対象になります。
三 正当な事由がないのに、当該許可を受けてから六月以内に営業を開始せず、又は引き続き六月以上営業を休止し、現に営業を営んでいないこと。 四 三月以上所在不明であること。
風営法 第8条(抜粋)
内装工事が長引いて開店が遅れる、体調や資金の都合で休業する。こうした事情があるなら、6か月が近づく前に管轄の警察署に相談しておきます。「正当な事由」にあたるかは店の側で決められません。
廃業したら、許可証を返納する
店を閉じたときは、許可証を公安委員会に返納します。
許可証の交付を受けた者は、次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、遅滞なく、許可証(中略)を公安委員会に返納しなければならない。 一 風俗営業を廃止したとき(中略)。 (中略) 2 前項第一号の規定による許可証の返納があつたときは、許可は、その効力を失う。
風営法 第10条第1項・第2項(抜粋)
返納は「遅滞なく」です。居抜きで次の人に貸すときも、許可は次の人に引き継がれません。次の営業者は自分で許可を取り直します。
営業者が亡くなった場合、相続人が営業を続けるなら、死亡後60日以内に公安委員会に申請して承認を受けます(法第7条第1項)。承認の申請をしていれば、承認または不承認の通知までの間は、亡くなった人の許可が相続人に対してされたものとみなされます。法人の合併や分割にも、それぞれ承認の手続きがあります(法第7条の2・第7条の3)。
10年間処分がない店は、掲示と構造変更の特例を受けられる
許可を受けてから10年以上経ち、過去10年に処分(指示を含む)を受けたことがなく、法令の遵守状況が優良な店は、申請により公安委員会の認定を受けられます(法第10条の2)。認定を受けると、許可証の代わりに認定証を掲示し、構造・設備の変更は事前の承認ではなく事後の届出で足ります(法第9条第5項)。
処分を受けると認定は取り消されるので、この特例は、届出を抜かさずに続けてきた店への扱いです。
手続きの期限を一覧にする
| 場面 | 手続き | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 営業を始める | 許可証を見やすい場所に掲示 | 開店時から | 法第6条 |
| 店名・管理者・役員などを変えた | 変更の届出(許可証記載事項なら書換えも) | 10日以内(法人の名称・住所・代表者・役員は20日以内) | 法第9条第3項・施行規則第20条 |
| 増築・改築など構造・設備を変える | 事前の承認 | 工事の前 | 法第9条第1項 |
| 軽微な構造・設備の変更 | 変更の届出 | 1か月以内(照明・音響・防音は10日以内) | 法第9条第3項・施行規則第20条 |
| 許可証をなくした・破損した | 届出と再交付 | 速やかに | 法第5条第4項 |
| 営業を始めない・休業する | 取消しの対象になりうる | 6か月 | 法第8条 |
| 廃業した | 許可証の返納 | 遅滞なく | 法第10条 |
| 営業者が亡くなった | 相続の承認申請 | 死亡後60日以内 | 法第7条 |
この記事は法律と施行規則の期限を整理したものです。届出書の様式、添付書類、郵送の可否は都道府県警察ごとに案内が違います。手続きの前に、管轄の警察署の保安係に確認してください。深夜酒類提供飲食店営業の届出をした店にも、変更や廃止の届出があります(法第33条第2項)。
今日できる確認
- 許可証が営業所の見やすい場所に掲示されているか。記載されている店名・営業者・管理者が現状と合っているか
- 直近1年で、管理者・役員・代表者の住所に変更がなかったか。あったなら届出を出したか
- 内装や照明・音響を変えたことがあるか。あったなら承認または届出を済ませたか
- 休業している期間があるなら、6か月に近づいていないか
- 廃業や譲渡の予定があるなら、返納と次の営業者の許可の段取りを考えているか
許可を取ったときの書類一式を、営業所に1冊にまとめておくと、変更のたびに何を出したかが分かります。開業時の手続きの全体はスナック開業の許可一覧とコンカフェ開業の許可一覧にまとめました。
出典
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索。第5条が許可申請と再交付、第6条が掲示、第7条が相続、第8条が取消し、第9条が変更、第10条が返納、第10条の2が優良認定)
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索。第20条が変更届出の期限)
- 警視庁「風俗営業の構造又は設備の軽微な変更届出」
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(警察庁)
※2026年9月22日に上記資料を確認しました。届出の様式・添付書類は管轄の警察署へ、承認と届出のどちらにあたるかは工事の前に警察署か行政書士へ確認してください。
この記事の要点
- 店名・管理者・法人の役員などを変えたら、変更の日から10日以内(法人の名称・住所・代表者・役員は20日以内)に届出。許可証の記載事項なら書換えも受ける
- 増築・改築など構造や設備を変えるときは、工事の前に公安委員会の承認が要る。軽微な変更は事後の届出で、1か月以内(照明・音響・防音は10日以内)
- 許可を取って6か月以内に営業を始めない、6か月以上休業すると、許可の取消しの対象になる。廃業したら許可証を返納する


